ダージリン・クローナル
「品種」とは、各産地の茶業研究所によって開発され、性質が固定化されて流通しているもの。茶園で茶樹を植え替える際には、種子では育成に時間がかかること、また収量の改善が見込めることなどから、多くの場合で品種が使われます。実生が雑種の集合体であるのに対し、品種は基本的には同じ遺伝子を持つことから、単一の品種で作られたお茶にはその品種特有の香りや味わいが現れます。
■ダージリンの品種
インドの品種はTRA(茶業研究所)のもとで交配や茶園からの優良品種選抜などによって開発されます。同じ遺伝子を持つ個体(クローン)を増やす手法によって作られることから「クローナル」「クローナルティー」「クローナルブッシュ」などと呼ばれています。1967年に最初のクローナルがリリースされて以降、現在ダージリン向きクローナルとして29種が開発されています。よく知られた品種として「AV2」「P312」「B157」「T78」などがあります。
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実生と品種
どの国でも茶園では茶樹の種類によって茶畑の区画を分けて栽培をしています。その種類とは、多くの場合は「品種」です。
「品種」とは、中国種やアッサム種といった植物分類学上の「変種」ではなく、各産地の茶業研究所によって開発され、性質が固定化されて流通しているものです。それぞれの産地で、その土地や気候などの環境適応性、あるいは多収性、耐病性などの生産性といった観点で様々な特質を持った品種が開発され、広く普及しています。一つの品種を開発するのに20-25年かかるとされています。
品種は1950年代に挿木の技術が確立されたことによって開発が進みました。挿木は同じ遺伝子の個体(クローン)を増やす手法で、同じ遺伝子を持つとということは、すなわち同じ性質を持つことになります。そしてそれらの品種にはそれぞれに特有の香りや味わいがあります。
一方、挿木の技術が確立される前は、種子が唯一の増殖の手段でした。種から育てられた実生の茶樹は根が地中深くに伸びる性質があり、寿命も長いとされています。実生の茶樹はすべて違う遺伝子を持ちますが、こうした共通する性質から、香りや味わいにも共通した特徴が見られることがあります。
ダージリンや日本などの生産量が小さい産地では、実生と品種は分けて製茶され、それぞれが商品として流通することも多く見られます。スリランカやアッサムなど、生産量が大きい産地では実生と品種は区画を分けて栽培されていますが、商品としては分けることは多くありません。
「実生」と「品種」、それぞれの特徴を知ることで、好みのお茶を探すヒントになるかもしれません。