t-breakの考えていること
「紅茶」と聞いて、どんなことを想像しますか?
「紅茶の国イギリス」
「華やかな香りのアールグレイ」
「リッチな気分のアフタヌーンティー」
きっと多くの方がこんなイメージを抱かれるのではないでしょうか?
t-breakは紅茶専門店ですが、これらの言葉とは縁がないお店です。ちょっと変わった紅茶専門店と思われるかもしれませんが、おいしい紅茶にこだわった結果、こんなお店ができあがりました。
テーマは『旬の紅茶』です
私たちが創業以来変わらず持ち続けている思い、それは“紅茶本来のおいしさを、一人でも多くの方にお伝えしたい”ということ。そのために最もふさわしい紅茶として、当店では「シングルオリジンティー」に特化し、その中でも「旬」に作られた紅茶を厳選してご紹介しています。
「シングルオリジンティー」とは、インドやスリランカなどの生産国の茶園で作られたそのままの紅茶。アールグレイのように香料などの添加物も使わなければ、イギリスの大手メーカーのようにブレンドもしていない紅茶です。その味と香りは、茶葉本来の素材の力、気候や風土などの自然の恵み、そして製茶に携わる作り手の技術によってのみ作られます。まさに紅茶は農産物なのです。そして農産物であるがゆえに、一年の中でも味と香りがグンと引き立つ「旬」があります。
私たちの考えるおいしい紅茶
当店は紅茶の産地の「旬」の時期に、その産地と季節、素材の特徴が最もよくあらわれた紅茶を買い付けるよう心掛けています。適切な茶葉を適切な製法で、その素材の特徴を出すように作られた紅茶が最もおいしくなると思うからです。
近年一部の紅茶の産地では「ウーロン茶」や「緑茶」、芯芽だけを集めた「シルバーチップス」など、高付加価値を狙った「特別な紅茶」が盛んに作られるようになってきました。しかし当店ではこうした「特別な紅茶」はあえて追い求めません。はじめから高値で売ることだけを目的として作られた紅茶は、得てして価格に見合うほどのクオリティが伴わないことが多いと感じているためです。
同じような考え方から「他店に比べていち早く仕入れる」ということにもこだわりません。「早いこと」で付加価値がつき、クオリティに見合った値付けがされない場合があるためです。「早いこと」よりも「おいしいこと」に重点を置いた買い付けをすると、新茶の入荷が少々遅めになることもあります。
また場合によっては、そのシーズンの仕入を見送ることもあります。単なる品揃えを目的として、産地や季節、素材の特徴を充分に表現しきれていない紅茶をご紹介することは、紅茶本来のおいしさをお伝えすることにはならないと考えるためです。例えそのシーズン中においてクオリティが最も優れた紅茶であっても、それが充分なレベルに達していないと判断した場合は、当店としては仕入を見送ることも止むを得ないものと考えています。
どの産地でも、本当にピークと言えるようなクオリティの高い紅茶が作られる時期は約1~2週間。そのピークの時期を見極め、その中で最もクオリティが際立つものを選ぶのが私たちの仕事です。
おいしい紅茶を選ぶために
私たちがおいしい紅茶を選ぶために大切にしていることは「現地に足を運ぶ」ということです。同じ産地といえども、茶園によってそれぞれに特徴が異なります。使われている品種やその比率、標高や斜面の向きなどの環境の違い、製茶方法の違いなど、現地でしか知りえない情報はたくさんあります。そうした茶園の特徴や買い付けるべきタイミングの見極めなどは、現地で得た情報が多い方がアドバンテージがあると考えています。また足を運んで色んな茶園を見て回ることで、産地全体の傾向を知ることもできます。
またそうした「情報」もさることながら、何よりも重要なのは紅茶を作っている「人」です。同じ茶園であっても製茶の指揮を司るマネージャーが変わると、その茶園の紅茶はがらりと変わります。マネージャーの経験や技術、製茶に対する姿勢や哲学、またスタッフの統率力なども含め、どのような人が作っているかを知ること、そして彼ら作り手との信頼関係を構築することは、当店にとっておいしい紅茶を選ぶために欠かせないことです。
現地で得たたくさんの生の情報と、人と人との信頼関係は、必ず選ぶ紅茶のクオリティの違いとなって現れるものと考えています。
最高の一杯のために
私たちはおいしい紅茶に徹底的にこだわります。しかしいくら私たちがこだわっていても、「おいしい紅茶」をご紹介すること自体には何の意味もありません。一人一人のお客さまに、そして一人でも多くのお客さまにおいしく味わっていただいて初めて紅茶は価値のあるものになるのです。
おいしい紅茶を味わうことは、そんなに難しいことではありません。まずは一度、いつもと同じ淹れ方で、茶葉だけを変えて味わってみてください。そして茶葉を変えるとどれだけの違いが出るかを体験してみてください。
アフタヌーンティーのようにかしこまる必要もなければ、ジャンピングやゴールデンルールのように淹れ方を気にする必要もありません。「形」にとらわれず、もっと気軽に、まずは紅茶を楽しんでみてください。おいしい紅茶を味わうためには、まずはおいしい茶葉、そして何よりもおいしく味わおうと思うほんの少しの気持ちのゆとりがあれば、それだけでそのカップが今よりずっとおいしくなります。紅茶のおいしさは、茶葉の数ではなく、味わう人と楽しむシチュエーションの数だけあるのです。
“for your finest quality cuppa”
「cuppa」とはイギリスの口語で“a cup of tea”のこと。“tea”だけでなく“a cup of tea”、つまりみなさんが紅茶を実際に淹れて味わう、その瞬間も含めて最高のものにしたいと考えています。
みなさんの「最高のひととき」をお手伝いできることを心から願っています。