実生 / チャイナ
「実生」とは、種子から育てられた植物のこと。近年茶樹を増やすためには主に品種が使われているため、結果として実生の茶樹は樹齢が長い古樹であることが多くなっています。若くて成長の早い茶樹に比べ、古樹は成長が緩やかなことから独特の味わい深いお茶が作られます。また長い年月をかけてその土地で育まれてきたことから、その産地の「昔ながらの味」を体現していると言えます。
■ダージリンの実生
ダージリンで作られたお茶のうち、実生のお茶はほぼ「チャイナ」もしくは「チャイナ・ハイブリッド」から作られています。「チャイナ」はダージリン開拓当初に中国から種子がもたらされたもの、「チャイナ・ハイブリッド」はチャイナから採取された種子によって育成されたものです。
ちなみにダージリンには「アッサム」「アッサム・ハイブリッド」も存在します。かつてアッサム地方にあった種子商「シードバリ」が英国統治下の茶産地への種子の供給源だったころ、そのシードバリからダージリンに種子がもたらされたものです。「アッサム」は香味において品質上の優位点が認めにくいことから、グレードなどに謳われることはほとんどありません。
つまり私たちが味わえるダージリン産の実生は「チャイナ」もしくは「チャイナ・ハイブリッド」であると言えます。
■日本の実生
日本の実生のお茶の多くは「在来種」です。在来種とは、厳密には同じ性質を持つ「種」ではありません。お茶は自家受粉しないため、種子繁殖では異なる遺伝子が混ざる「雑種」となるのです。
在来種は、長い年月をかけてそれぞれの土地や風土などの環境に適応して残されてきため、その産地や茶園の個性が現れるとも言えます。挿木による繁殖方法が確立されて以降、日本の多くの茶園が品種茶園となり、在来種は数%程度と言われています。
また品種の中には挿木の技術が確立される前に開発されたものもあり、一部の茶園には実生品種が残されていることがあります。「実生やぶきた」と表記されているものはその一つです。
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実生と品種
どの国でも茶園では茶樹の種類によって茶畑の区画を分けて栽培をしています。その種類とは、多くの場合は「品種」です。
「品種」とは、中国種やアッサム種といった植物分類学上の「変種」ではなく、各産地の茶業研究所によって開発され、性質が固定化されて流通しているものです。それぞれの産地で、その土地や気候などの環境適応性、あるいは多収性、耐病性などの生産性といった観点で様々な特質を持った品種が開発され、広く普及しています。一つの品種を開発するのに20-25年かかるとされています。
品種は1950年代に挿木の技術が確立されたことによって開発が進みました。挿木は同じ遺伝子の個体(クローン)を増やす手法で、同じ遺伝子を持つとということは、すなわち同じ性質を持つことになります。そしてそれらの品種にはそれぞれに特有の香りや味わいがあります。
一方、挿木の技術が確立される前は、種子が唯一の増殖の手段でした。種から育てられた実生の茶樹は根が地中深くに伸びる性質があり、寿命も長いとされています。実生の茶樹はすべて違う遺伝子を持ちますが、こうした共通する性質から、香りや味わいにも共通した特徴が見られることがあります。
ダージリンや日本などの生産量が小さい産地では、実生と品種は分けて製茶され、それぞれが商品として流通することも多く見られます。スリランカやアッサムなど、生産量が大きい産地では実生と品種は区画を分けて栽培されていますが、商品としては分けることは多くありません。
「実生」と「品種」、それぞれの特徴を知ることで、好みのお茶を探すヒントになるかもしれません。