天の製茶園

熊本と鹿児島の県境、石飛(いしとび)地区にある天の製茶園。石が飛ぶほどの強い風が吹くことから「石飛」と呼ばれたそうで、八代海を望む標高500-630mの高台にありながら、鹿児島から吹く乾燥した風の影響を受ける地域です。

この地域は昭和の初めに開拓され、戦争で一時荒れてしまった茶畑を、戦後の開拓団で入植した人たちが再生したそうです。いろんな地域から様々な種類の茶樹を集めたことから、天野さんの茶園では在来だけで宇治や静岡など4系統、品種は30種もあります。

水俣病の影響で農産物が売れなくなった時期を経験したことから無農薬栽培がはじめられ、15年前からは無農薬無施肥の自然栽培を続けています。このことが結果として紅茶の製造に功を奏し、品種の個性が現れるお茶が作られるようになりました。生態系を意識し、なるべく自然な状態を保ちながら健康な茶樹を育てるのも天野さん独特のやり方で、茶樹の更新をしながら山間地としてはかなり広い10haもの茶園を管理しています。